中小企業診断士試験について

中小企業診断士として必要な簿記のレベル

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中小企業診断士は業務上で経営者相手に助言をすることも多い資格です。

経営者をはじめ、物事を判断する立場にある人は数字をもとに決断することが多いです。

そのため、中小企業診断士試験は重要科目として「財務・会計」を置いています。

 

会社の数字を理解するために勉強する資格として一番身近なのは簿記ですよね。

そこで、本記事では財務・会計と簿記のレベルの比較についてまとめました。

 

財務・会計の概要

中小企業診断士協会の試験概要から財務・会計の概要を見てみましょう。

H31年度に実施された受験案内には次の通り記載されています。

 

『財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、また企業の現状把握や問題点の抽出において、財務諸表等による経営分析は重要な手法となる。また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達したり、成長戦略の一環として他社の買収等を行うケースが増大することが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を活用した投資評価や、企業価値の算定等に関する知識を身につける必要もある。』

 

そして、二次試験では事例Ⅳで財務分析に関する問題が出題され、財務指標の分析結果から事例企業の抱える問題点の指摘を行います。

試験で出題される範囲の詳細は以下の通りです。

 

制度会計

企業の外部への情報開示(ディスクロージャー)を目的として行われる会計です。

基準は統一されており会計制度で、財務諸表(貸借対照表,損益計算書,キャッシュフロー計算書)の作成方法を学びます。

 

また、企業の実態を把握するために、収益性・流動性・安全性などの観点から経営分析の手法を学習します。

 

管理会計

財務会計に対し、管理会計は社内で集計したデータを加工し、直接費と間接費を分け原価計算・分析、集積性を判断するための分析レポートの作成、これらをもとに現状の把握や将来予測などの経営判断を行うことを目的としています。

 

外部への情報開示(ディスクロージャー)を目的としていないので、形式のルールは特に定められておらず、会社ごとに詳細は異なります。

 

ファイナンス

プロジェクトの選択(投資評価)M&A(企業買収)に必要な企業価値の算出をする方法を学びます。

将来のお金の価値を現在の価値に戻すという考え方(NPV 割引現在価値)や株価の理論値の算出方法を学びます。

 

 

簿記の概要

これまで説明した通り、中小企業診断士試験は一次・二次の両方で財務・会計を重要科目としています。

財務・会計や事例Ⅳで出題される問題を解くうえで簿記の知識が必要になります。

簿記と言えば日本商工会議所が実施する日商簿記検定ですよね。

 

日商簿記検定試験には1級から3級までありますが、ここで各級のレベルについて商工会議所公式の記述内容を見てみましょう。

 

簿記1級

税理士、公認会計士などの国家試験の登竜門。大学程度の商業簿記、工業簿記、原価計算ならびに会計学を修得し、財務諸表規則や企業会計に関する法規を理解し、経営管理や経営分析ができる。
1級の合格者は 税理士の受験資格が与えられます。

 

 

簿記2級

高校程度の商業簿記および工業簿記(初歩的な原価計算を含む)を修得している。財務諸表を読む力がつき、企業の経営状況を把握できる。相手の経営状況もわかるので、企業の経営管理に役立つ。
2級以上の合格者は 大学などの推薦入学に有利です。

 

 

簿記3級

ビジネスパーソンに必須の基本知識が身につき、商店、中小企業の経理事務に役立つ。経理関連書類の読み取りができ、取引先企業の経営状況を数字から理解できるようになる。営業、管理部門に必要な知識として評価する企業が増えている。

 

2級,3級は企業の経理実務担当者として実務をこなすために必要なレベルですね。

1級は経営管理・経営分析ができると表記されているので、企業の財務責任者やそれに準じるポジションに求められるレベルです。

 

財務・会計は簿記2級と同レベル

ここまで財務・会計と簿記の出題範囲について触れましたが、いまいちわかりにくいのでもう少し詳しく解説します。

中小企業診断士試験は、試験概要に財務諸表等による経営分析は重要な手法となると表記しているように、財務諸表を分析できる能力は最重要です。

 

ただ、中小企業診断士はコンサル先の企業活動を簿記を使って記帳してから分析しているわけではありません。

中小企業診断士が簿記の記帳方法を完全に理解しておく必要はないです。

 

試験では簿記のカテゴリでは試算表や精算表や決算整理仕訳の穴埋め問題が出題される程度です。

複式簿記の仕組みなどの基本の知識をおさえておけば問題ありません。

 

基本的には簿記2級程度の知識を抑えておけば中小企業診断士試験では財務・会計を得意科目にできるでしょう。

中にはキャッシュフロー計算書やNPVやDCFなどの簿記1級レベルの出題もありますが、深く問われることはないので、簡単に抑えておく程度で問題ありません。

 

二次試験では簿記二級で出題される単純な計算問題はありません。

事例企業の財務状況から財務分析を行い、問題点に対し改善策を考えたり予想財務諸表を作成します。

二次試験では「知っているかどうか?」ではなく「知識を使えるかどうか?」を問われます。

 

二次試験(事例Ⅳ)対策では、財務分析の基本の計算方法をマスターしていることが大前提です。

簿記に関する知識は一次試験までにしっかり記憶しておきましょう。

 

中小企業診断士を目指すなら簿記1級はオーバースペック

中小企業診断士に簿記1級の知識はほぼ求められません

 

中小企業診断士はスペシャリストではなくゼネラリストを目指す資格です。

知っているに越したことはありませんが、実務で簿記1級レベルの知識が必要になったときには専門家に頼れば良いのです。

 

実際は税理士に相談することになるでしょうね。

中小企業診断士は全体を俯瞰して方向性を決めたり助言をするのが仕事です。

詳細は専門家と協力しましょう。

 

財務・会計は試験を免除される資格もある!ただ残念ながら簿記1級は対象外

実は試験で財務・会計を免除してもらえる資格が複数あります。

 

財務・会計が免除される資格

・公認会計士または公認会計士試験合格者
・会計士補
・会計士補となる有資格者
・税理士
・税理士法第3条第1項第1号に規定する者(税理士試験合格者)
・税理士法第3条第1項第2号に規定する者(税理士試験免除者)
・税理士法第3条第1項第3号に規定する者(弁護士または弁護士となる資格を有する者)

 

上記の資格を保有していると一次試験の財務・会計を受けなくても良いと認められています。

ただ、残念ながら簿記1級は財務・会計免除の資格に指定されていません

 

上記の資格をみてわかる通り、財務・会計を免除してもらうために取得するにはコスパが悪すぎる資格ばかりですね。

簿記1級も難関資格ですがそれ以上の難易度ばかりです。

 

財務・会計は中小企業診断士試験の核となる重要科目です。

難しい科目なので免除などで避けたくなる気持ちもわかりますが、資格を取得したときだけでなく、もし中小企業診断士を取得できなかったとしても役に立つ知識です。

正面から立ち向かいマスターできるようぜひ努力してみてください。

 

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